写真 2016-08-25 20 21 03

リフトに上がる100系の黒いS2000、バンパーのエアアウトレットが本気を感じます、、が「後ろの方からグオングオンと凄い音が出てるんです、怖くて走れませ~ン」と、涙のオーナー様、さっそくデフASSYを降ろしてみると、、、

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赤矢印の部分、リングギヤに深い打痕が、サーキットを頻繁に走るS2000には良く有るトラブルなのですが、いつもとちょっと様子が違う、、、

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それは、打痕の場所、約1/4の範囲の赤丸部分にしか付いていないのです。

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不具合の原因が判らないと部品を交換してもトラブルが再発するので、原因を探すため各部のチェックをしながらオーバーホール作業を進めます。

先ずはデフキャリアに基準となるマスターLSDを組み付けデフキャリアの合否判定、サイドベアリング部の平行度や、ピニオンギヤの触れを測定。

降ろしたデフのキャリアはピニオンの振れが大きく完全にNG、そこで新品のデフキャリアに交換しますが「測定」して振れが無い事を確認してから組み立てを開始します。

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基準になるマスターLSDを使用して、組み付ける4.4ファイナルギヤセットのバックラッシュや歯当たりの確認。

全周にわたりバックラッシュを測定、歯当たりも均一に綺麗に出ました、これでファイナルギヤも問題ナシ!

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それから、組み付けるLSDの振れを計測、ケースの1/4の範囲に0.04~0.07mmの歪が発生、ちょうどリングギヤの打痕の範囲と一致、歯当たり不良はこのケースの歪が原因でした。

LSDのアウターケースを新品に交換する事に、もちろんその新品ケースでも計測確認して比較します。

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構成する各パーツに問題が無い事を確認して組み立てに着手、つまり新品だから即組みではなく常に「基準値」を測定して組み立てを行います。

新品部品なら大丈夫だろう!では無くて、常に基準となるマスターピースを使い、いつも同じ公差基準を持って部品の状態を管理する事が大切。

小さな部品の集合体である「クルマ」、パーツの製造ロットや加工公差の上下限によるバラツキを把握し、最良の組み合わせを見つけ出し、組み付けを行う事が良いクルマ、強いクルマ創りに繋がるんですね。

Posted by Jomoto