CL1エンジンOH1.jpg

今日はCL1アコード ユーロRのお客様がご来店です。

自分でボディを全塗装した、というだけあり、各部にメンテナンスが行き届いた程度の良い状態でしたが、

「最近、街乗りだけでもエンジンオイルの消費が多いので、エンジンをオーバーホールしたい。」との事でした。

とても素人の塗装とは思えない程の綺麗さにスタッフもみんなビックリ!でした。

聞くところによると、普段の街乗り1000kmで1L以上のオイルが消費し、走行距離も10万kmを越えるところだったのでエンジンをオーバーホールすることになりました。

早速、タイプワンにて下ろしたエンジンはSPOONに運び、分解してエンジンの内部をチェックです。

エンジン分解1.jpgエンジン分解2.jpgエンジン分解4.jpg

写真のようにエンジン内はスラッジが溜まり、オイルの汚れも酷い状況。これはオイル交換をしなかった訳ではなく、シリンダーの圧縮圧力が抜けてブローバイガスが多いときの特徴です。

圧縮が抜けていると逆にエンジンオイルも燃焼室に上がってしまい燃えてしまいます。これが俗に言う「オイル上がり」です。

ブローバイガスが多くなって来たり、オイル消費量が増えてきたら圧縮が抜けてきているかもしれないので要チェックです!

分解したエンジン部品は洗浄、測定、加工を施され精密に組み上げられていきますが、今日はその加工の一部をご紹介します。

ステムガイド測定.jpgバルブシートカット.jpgバルブすり合わせ.jpg

まずはシリンダーヘッド。

写真左はカムシャフト、ロッカーアーム、バルブなどをすべてばらした状態で、バルブステムガイドの内径を測定し、再利用できるかどうかを判別しているところです。専用のボアゲージで測定するのですが、この径が規定より大きいとバルブが振れてしまい、ここからもオイルが燃焼室に流れ込んでしまいます。この症状が「オイル下がり」です。

この数値が規定値より外れている場合はバルブステムガイドを打ち代えます。

写真中央はバルブシートカットです。

通常10万kmも走行しているエンジンのバルブシートの当たり面は広がってしまい、バルブとバルブシートの密着性がなくなっているため、専用工具でバルブシートを復元します。

バルブシートカットが完了したら、実際に組み込む新品のバルブで摺り合わせを行ないさらに密着性を高めます。

このようにバルブのあたりを出す事は、燃焼圧力の機密性を保つ為に非常に重要になるので精密な作業が必要となります。

ポート加工.jpgインテークポート.jpg燃焼室.jpg

そして、写真左はヘッドのポート加工をしているところです。

ホンダエンジンと言えど、量産のエンジンのポートは段付きも多く荒い為、リューターでその段付きを丁寧に削り、磨き上げていきます。

その他、ガスケット面測定、修正を行いバルブが組み上げられます。(写真右)

ロッカーアーム磨き1.jpgロッカーアーム磨き2.jpgロッカーアーム洗浄.jpg

写真左はロッカーアームを磨いているところです。

バフで磨いているのはカムシャフトとの摺動面ですが、距離の多いエンジンはこの面にも段付きやうねりが生じる為、綺麗に磨き上げます。1/100mm単位のバルブクリアランスを正確に調整し、より正確なバルブタイミングを出す為にもこの修正が非常に重要となります。

研磨後、写真右のようにロッカーアームを完全にばらし、特にオイルラインの汚れを完全に落とす為に丸一日ガソリンに浸けておきます。

ロッカーアーム組み立て.jpgロッカーアーム組み立て2.jpgロッカーアームOH後.jpg

浸け置きしたロッカーアームの各パーツを綺麗に洗浄し、エンジンオイルを十分に塗布しながら組み付けます。

クランク磨き.jpgクランク洗浄2.jpgクランク洗浄3.jpg

写真のクランクシャフトは、摺動抵抗を最小に減らす為、各ジャーナル部を磨き上げ、写真の高温洗浄機にて洗浄します。このクランクシャフトのオイルラインの汚れも入念に洗浄が必要です。

クランク測定.jpgカムシャフト.jpgカム測定.jpg

洗浄後、クランクシャフトの振れを再度計測し、再利用できるかどうかの判別を行ないます。

同様にカムシャフトもホルダー部を磨き、洗浄後測定を行ないます。

H22A OSピストンセット.jpgOSシリンダーブロック.jpgH22A組み込み.jpg

こうしてSPOONエンジン室にて精密加工を施された各パーツはタイプワンエンジン室で組み立てられます。

写真左はH22Aオーバーサイズピストンセットです。ピストン、ピストンピン、コンロッドの重量を各気筒1/100グラムまで合わせ、0.25mmオーバーサイズのピストンに合わせてあらかじめボーリングしたシリンダーブロックに組み込みます。

インマニ1.jpgインマニ2.jpgインマニ3.jpg

完成したエンジンに洗浄した補機類を組みつけていきます。

写真のようにインテークマニホールドのポート部も純正はバリが立っているので綺麗に落とし、段付きを無くし、吸入抵抗を最小まで減らします。

クラッチ交換2.jpgクラッチ交換1.jpgCL1エンジンOH3.jpg

エンジン脱着の際には必ずクラッチも良くチェックしましょう。

今回はクラッチディスク、クラッチカバー、レリーズベアリング、レリーズフォーク4点が交換時期に来ていましたので純正新品に交換です。

そして補機類を装着後エンジンミッションを載せて作業完了です。

この後、一般道と高速道路で十分に試乗チェックを行い納車となります。

今回の掛かった費用は下記のようになります。

H22Aエンジンオーバーホール   ¥504,000

エンジン脱着工賃           ¥100,800

補機類純正パーツ(クラッチなど)  ¥ 49,228

エンジンオイル             ¥ 6,930

レーシン

グプラグ          ¥ 10,080

ハイテンションコード純正      ¥ 5,723

代車費用               ¥ 2,000

廃棄処分料              ¥ 1,050

合計                 ¥679,811

作業期間は1週間でした。

試乗チェック後、納車となりますのでNEWエンジンのフィーリングを楽しみにしていてくださいね!!

Posted by 原

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