ピニオン破損.jpg

今日はS2000(AP1-100)のお客様です。

「自分でデフオイルを交換したところ、抜いたオイルから何かの破片のような物が出てきたので見て欲しい。」との事で入庫されました。

破片.jpgピニオン破損.jpgピニオンシャフトクラック.jpg

早速、抜いたオイルを調べてみると、写真左のような破片が多数見られたため、デフを分解することになりました。

すると、その原因が判明。写真中央の社外の機械式LSDのピニオンギアが欠けていました。ユーザーはサーキットでドリフト走行をメインにされており、エンジンと路面からの激しい入力が繰り返される為、その他部品も入念にチェックを行ないます。

そして、写真右はデフも肝と言われるファイナルギヤ・ピニオンシャフトです。目視ではわかりませんでしたが、写真のように浸透液と現像液でチェックを行なうとクラック(赤い線)が浮き出てきました。このまま再利用していたら、すぐにブローしていたかもしれません!

キャリア不良.jpgキャリア比較1.jpgキャリア比較2.jpg

次に、デフキャリアをチェック。

写真左はピニオンシャフトベアリングのアウターレース圧入部ですが、本来軽圧入されるべきアウターレースに指で感じられるほどガタが生じていました。

サーキットメインで10万キロ走行されているとの事でしたが、今まで一度も交換されたことが無かった為、ひずみが生じたのでしょう。

ひずみが生じたデフキャリアは再利用が出来ないので新品に交換するわけですが、どうせ交換するのならAP1-130後期モデル以降のキャリアをお勧め致します。

写真中央・右のようにLSDの収まるブリッジ部の肉厚が厚くなり、強度がアップされています。この部分の強度が確保されることでリングギアの歯当たりの変化が最小限に抑えられるためデフの耐久性が向上するのです。

専用カラー1.jpg専用カラー2.jpgカラー比較1.jpg

そして、各パーツを組みつけていきますが、SPOONでは写真左、中央のようにピニオンシャフトのプリロード調整用のディスタンスカラーは調質材を使用したスペシャル品を使用します。純正のディスタンスカラー(写真右参照)はクラッシャブルタイプのため、大きな負荷が掛かる走行では熱変位が大きくプリロードに変化が生じてしまいます。この変化はデフの肝と言われるバックラッシュと歯当たりに大きく影響を与えてしまう為、特にハードユーザーには最も重要なパーツと言えます。

プリロード調整.jpgバックラッシュ調整.jpg

デフの組み付け、測定は単なる数値だけでは無いので、歯当たりの見極めと測定には多くの経験と手の感触が必要です。デフオーバーホールを考えている方はお気軽にご相談下さい!!

Posted by 原

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