今週は、14万キロ走行のEP3トランスミッション不具合をレポートします。

1年半前に中古車を購入されたオーナーさんで「納車当初から時々4速シフト時にギヤ鳴りが出ていたけれど、最近は頻繁に発生する様になった。4速を飛ばして乗っている」とメール相談を受けていました。

実際に試乗してみると、シフトアップダウン共に嫌な手ごたえで、スムーズにインギヤされません。

相談の結果、ミッションのオーバーホールを実施する事になりました。

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ミッションを降ろしオーバーホールを開始します。
ケースを割った印象は、意外とキレイ??

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ギヤ、シンクロの山も潰れてはいませんでした。

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内部のマグネットに吸着されていている鉄粉の量もあまり状態が悪い様には見えません。
現オーナーさんが不調の4速を使用していなかった事が、更なるトラブルを防げたようですね。

更に分解を進めて行くと、今回の不具合の原因が見つかりました。

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油膜切れが原因と思われる、発熱による変色と摩滅を起こしていました。
これではシンクロとして機能していない状態です。

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新品はエッジが立っていて指を強く擦り付けると皮が切れてしまうくらいに、鋭利に加工されています。

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ちなみにシンクロ機構の作動の1つに、ギヤ同士の回転差を吸収し同調させる役割があります。

今回のトリプルコーンシンクロは、ギヤと爪で繋がっている銀色のカラーに、シフト操作により、シンクロハブが金色のシンクロコーンに押し付けられる事でブレーキがかかり回転差が減り、スムーズな変速が可能になっています。

シフト操作は丁寧に

前回の不具合内容は違いますが、どちらもオイル交換によって防げた可能性があります。

あなたの使用用途に合った油脂の選択と、適正な周期で交換をしましょうね。

オイルを抜いた際にツ~ンと焼けた様なイヤな臭いがする場合には、次回の交換周期を早めましょう。