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数年前にOHしたデフASSYが約3万kmを走行して突然ロックしました、

リアタイヤが固着して動かないのでローダーで入庫です。

プロペラシャフトと結合するコンパニオンフランジは内部で固着してビクともしません、、

とここまでは良くあるデフのリングギアのブローと思っていたら、あら~旦那さん大変ですよ物語が、、

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抜いたオイルは量も匂いもいたって普通、全然焼けてません、

廃油には赤○多少メタルフレークが沈殿していますが、

一般的にブローしたデフのオイルは焼けて「炭化」しているのが普通、

これは内部で何か予想も出来ない事が起きたのでは?

スタッフ総出の「ワイガヤ デフ研究会」の開始です、

何が原因で、どんな過程で壊れたのか、それを探り次の作業に活かしたい、

レースにも生かしたい、そんな素朴な疑問から作業を開始です。

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とにかくコンパニオンフランジを抜かない事にはデフの内部は観察できないケド、

電動プレスで押しても、ヒートガンで熱しても、叩いても、全然ビクともしません、

この時点で強烈な固着が内部の惨状を予想させます。

ホトホト万策つきて、ついにピ二オンシャフトの首を切り落して強引に分解する事にしました。

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すると赤丸部のテーパーローラーベアリングのインナーとローラーが激しく焼け、固着の痕跡が、

何とシャフトにも溶合しているではありませんか、なんだ~コレは、的な状態です。

でも、リングギヤやピ二オンギヤ、サイドベアリング、アウトプットシャフトなどはまったく問題なし、

目視では再使用可能なくらいキレイでした、これもまた不思議です。

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赤丸部の焼き付いたベアリング部を拡大した写真です、通常はこんな風に焼けると

オイルが炭化して黒く変色する筈なんですが、前記のようにオイルはごく普通、、

ナゼ? どうして??

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更に仔細に点検してみると、、

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テーパーローラーの先端部には激しく焼けが集中した痕跡が、これが主原因ですね。

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当然アウターレースも極圧過多による深いスカッフ痕があります。

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またシャフトとベアリングインナーケースも振り回しにより抱き付きが、

通常はオイルが焼けてからブローしますが、今回はその前段階で瞬間的に

テーパーローラーベアリングのプレロード過多により「一気に」デフブローとなったんです、

怖いですね~。

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デフは壊れる前に必ず音が出ます、定速では「ゴー」と言う連続音でエンブレ時には「ガー」に、

こんな音がしたら聴診して音を聴いて下さい。

オイルの色や質の点検診断だけでは不十分、う~ん、駆動系は実に奥が深いですね。

 蛇足ですがハブやドラシャの異音の場合は「カリカリ」とか「ゴトゴト」音、

それが左右で音質、音量が違います。

デフやテーパーベアリングでは過去にこんな事象もありました、

ご参考まで。

  ↓

コンパニオンフランジからのオイル漏れ テーパーベアリングの異常

 

Posted by Jomoto