3月20日そぼ降る雨の筑波でNSXの取材がありました、事前にタイプワンでメンテナンスを
施してアライメントも雨セットに合わせ込んで、あとはドライバーさんに託すのみ。
サーキットに搬入した時までは元気に普通に動いていたエンジンが
ウォームアップのアイドル中に「パスッ」とエンジンストール、
その後エンジンは復調する事はありませんでした。
タイプワンへの帰路、意気消沈しながらも原因追及のフローをシミュレート、
とにかく気持ちを切り替えよう!て高校野球みたい(笑)
先ずは、バッテリーの電圧チェックです。
メーターの表示電圧は問題なし。
そして実際の端子電圧をテスターで測りメーターとの誤差をチェックしましたが
端子電圧、メーターの差はありません。
電圧も十分あるので電源供給系は問題なし。
次は、燃料系のチェック。
燃料ポンプの作動音、吐出量、吐出圧(燃圧)、リーターンの配管と流量をチェック、
ここも、特段の異常なし、
インジェクターの波形を見るためにオシロをつないで、、
う~ん、波形もキレイだし、、
燃料供給系は大丈夫なようです。
そうなると、点火系が怪しい、となり、、
イグナイターの目視点検。
コネクターのゆるみ、ガタは無し。
でも、外見だけでは判りません。
なんてったって、電気は目に見えませんからね(泣)
点火コイルの波形をチェックしましょう。
これは?波形が「トアエーモワ」してるやん、
正常時はこんな「モワモワ」じゃありません、
どうやら原因は点火系のようです。
コイルの抵抗値を計測し比較するとやや低めの数値が、
更に細部まで見てみると、、
赤○部は熱でケースがひずみこんなに隙間が出来てるじゃないですか!
しかも、ケースにクラックが、、
これでは防水機能が低下し、いつエンジンが止まってもおかしくない状態。
エンジンの熱と振動でこうなっちゃうんですね、トホホ。
コイルとイグナイターをセットで交換すると、
NSXは何事もなかったように即座にエンジンが始動、目覚めましました。
今、思い返すとトラブルフローとシュートは
1、雨の中、リヤハッチを閉めたままエンジンをアイドリングで暖気
2、軽量化の為エンジンルームの排気ファンが無い事からエンジンルーム内の温度が上昇。
3、コイル、イグナイターが熱により破損。
という流れが予想されます。
レーシングカーは色々なトラブルが起きますが
熱害による破損は蓄積された総熱量で決まるので、
レースカーで壊れる部位はストリートカーでもいずれは壊れます。
そんな悔しい経験と情報の積み重ねがその後の良い作業に
つなげる、そんな貴重な体験レポでした。
Posted by 城本