今週のタイプワンブログは、年明けにミッショントラブルで入庫したDC2-98specのオーバーホール作業をレポートします。

お客様から「2速で走行中に右旋回をするとミッションから、カラカラと音が出るんです。」そんな相談を受けて点検で入庫しました。

リフト上にて左右に転舵しながら各ギヤで点検しますが、異常音の発生は無し。
お客様に同乗をして頂き実走テストを行うと、確かに2速の右旋回のみ異音が発生。車速に比例するカラカラと大きな音が出ていました。

このまま走行を続けるとミッションブローに繋がる恐れがあるので、そのままお預かりする事となりました。

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早速降ろしたミッションを分解して仔細に点検し原因を探していきます。

走行16万キロとは思えない程、ギヤ・シンクロ類はとても綺麗な状態でした。丁寧にミッションを労りながらシフト操作をしている事が想像できます。

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今回の異音の原因は赤矢印の部品でした。

リバースチェンジホルダーと言う名称で、リバースアイドルギヤを保持する為の部品です。

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赤〇部の板バネと金属のチェックボールが赤矢印部のくぼみを移動し、リバースインギヤ時の節度感も同時に作っています。

僅かなクラックが入っていた様で、ボルトを外した衝撃でポロリと破断してしまいました。

走行中に破断していたらミッションブローは避けられなかったでしょう…

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ミッション搭載状態はこのような位置関係になります。
赤丸部が、リバースチェンジホルダー
緑矢印は、リバースアイドルギヤ
青矢印は、1-2速のシンクロスリーブに一体成型されているリバースギヤ

後退時以外は、緑矢印のアイドルギヤはどこのギヤとも嚙み合わずフリーな状態で保持されています。

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2速のみで異音が発生していたのは、青矢印の様にシンクロスリーブが右側へシフトされ、カウンター2速とカウンターシャフトを連結する為です。

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異音発生の流れは、チェンジホルダーの板バネ張力が弱く固定がルーズになり、右旋回Gによってアイドルギヤが左へわずかに動き、赤矢印の様にギヤ同士が接触し「カラカラ音」を発生させていました。

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B型ミッションは既に廃盤となっている構成部品が多く、今回のチェンジホルダーも廃盤となっています。
今回はお客様へご説明の上、中古のストック品にて交換・組み上げを行いました。

ミッション内部の程度も非常に良く、再使用部品を見極めてのオーバーホール作業となりました。

作業総額は¥283,412-(税込)でした。

ご依頼ありがとうございました。